四国(死酷)旅行 with S【Part 3】四万十~西条
四国3日目。
前日から四万十市の民宿に泊まっていたが、この日もやるべきことが沢山あるので、朝8時には宿を出た。
私はここで見ておきたいものがあった。
それがこれ。土佐西南大規模公園の中にある、「恋人の聖地に認定された津波避難タワー」だ。
黒潮町は南海トラフ地震の被害想定で日本一高い津波がくるという想定が示された。そのため、町内には多くの津波避難タワーが設置されている。
被害想定が示された後、黒潮町は町を挙げて防災力の向上に力を入れてきた。
防災の界隈では、災害時に有効に使われるためには、平常時から利用されていることが有効だと言われている。「恋人の聖地」への認定も、平常時の利用方法の1つと言えるかもしれない。何が嬉しくてスワマー氏と来なければならないのか甚だ疑問だが、その辺を深く追及することは自重してほしい。
このタワーは「鯨が泳ぐ海が見える丘展望台」と名付けられており、屋上からは太平洋が見渡せる。恋人の聖地に認定されたのは2018年6月と、かなり最近のようだ。ちゃんと津波避難場所のマークも設置されている。
続いて、四万十川の河口に向かう。海沿いの県道を通って、河口へは30分もせずに辿り着いた。
これが四万十川の河口である。昨日の源流点とは違って川幅は広く、大河と呼ぶに相応しいまでに成長していた。川の流れと海からの波がぶつかり、水面は荒々しく波立っている。
スワマー氏に唆されて砂浜に降りる。
波が引いていると思い海に近づいた所、高波で足元を濡らされてしまった。
野郎、謀ったな、、、!?
新品の靴を濡らしてしまいショックを受けたが、そうも言ってられない。今日は四万十川を遡って愛媛県に入るのだ。四万十川は綺麗だから川の水で洗えば大丈夫だろ。
心に傷を負ったまま、先へ進む。四万十川に並走する国道441号に沿って北西へ。
四万十川は「日本最後の清流」とも呼ばれている。大河川でありながら、確かに水は澄みわたっている。
四国の道路は、規格の良い2車線道路かと思いきや突然1車線に減少する、という事がしばしば起こる。例えば1枚目の写真の場所から僅か200mほど走ると、2枚目のような幅員の道路になる。これが結構な幹線道路でも起こり得るので、狭い場所で多くの車とすれ違わなければならず、運転技術と精神力を要する。そのため四国では、自家用車数のうち軽自動車の占める割合が全国平均より明らかに高いらしい。
そうこうしているうちに、我々はとあるキャンプ場に着いた。
四万十川をはじめ、四国の川には珍しい形状の橋が幾つか架かっている。「沈下橋」と呼ばれるもので、欄干がなく、河川敷(高水敷)の高さに架けられている。増水時には水面下に沈下することから沈下橋と呼ばれる。四万十川には支流も含めて47の沈下橋があるらしい。
その一つがここ「長生沈下橋」である。地元では「飛び込める橋」として有名らしい。
なぜ我々がここに来ることになったのか。
事の発端は前日に遡る。
ーー回想ーー
スワ『四万十川に飛び込める橋があるらしいですよ! 飛び込みましょうよ!』
定休「へー、前向きに検討しとくわ」
スワ『言いましたね! ホントに飛んでくださいよ?』
ーー回想終了ーー
スワマー氏は本気で橋から飛ぶつもりでここに来たようだ。私は「前向きに検討する」と言ったが、あれは弊研究室では「行けたら行くわ」と同じ意味を持つセリフの筈だった。
だが、新入りの彼はそのままの意味でこのセリフを解釈してしまったようだ。どうやら後には退けないらしい。
飛び込むスワマー。前宙とはやりおる。近所の中学生が「すげえ!!」って言ってたよ。
飛び込む僕。えっ、、、うわ、だっさ、、!!!
しかも写真見返してみたら知らない人に見られてんじゃん、恥っず、、
この高さ、下から見れば大したことないように見えるけど、実際橋の上に立ってみると結構怖い。自分の身長は悠に超える高さだ。
2回目の飛び込みで何とか位置バグっぽい写真を撮ることができた。
だが、何時やらかしたのか右足首を捻挫、さらに右足踵部を打撲。初日の筋肉痛も相まって満身創痍になってしまった。
流石ことし本厄なだけはある。
...いや、待てよ?
怪我は自己責任だけど、飛び込みを唆したのはスワマー氏ではなかったか?
思い返せば新品の靴をずぶ濡れにしたのもスワマー氏の「悪魔の囁き」が遠因だった。
もし僕の考えが正しければ、、、こいつたぶん疫病神だわ。
沈下橋は車で渡ることもできる。欄干が無いだけで恐怖感は倍増だ。助手席に疫病神氏を乗せていたので転落しないか心配だったが、何とか無事に渡ることができた。
県境を越えて愛媛県に入る。宇和島市で国指定史跡・宇和島城跡を見学。
海沿いの国道378号を通って北へ向かう。この辺の地形は険しい山が迫っているため、海沿いに道路を通さざるを得ない。そのため、道路が海岸線を形成している。道路沿いには幾つかの港町が形成されており、人の住む気配もある。
連日の疲れがたたり、助手席で眠ってしまう。目を覚ますと既に佐多岬半島を通過していたが、なおも道路は海沿いを走っていた。「高波注意」の標識は私自身は初めて見たし、かなり珍しい部類に入ると思う。
大洲市に入ってからは、予讃線(JR四国)と並走する。青春18きっぷのポスターなどで有名になった下灘駅があるので、寄り道してみた。
この日は日曜日だったこともあり、下灘駅は多くの人で賑わっていた。ポスターの効果は絶大だ。もはや立派な観光地である。タイミングよく電車が到着し、我々も撮影することができた。
下灘駅は、かつては「日本一海に近い駅」と言われていたらしく、確かにその小さなホームから大きな海が見渡せる。だが実は、国道はさらにその海側を走っているのである。下灘駅から大きな海が見渡せるのは、鉄道が少し高い場所を走っているためであり、視覚的な効果も大きい。
この道路は通称「夕やけこやけライン」と呼ばれていて、下灘駅をはじめ、道の駅や海浜公園など多くの夕日スポットが存在する。我々はこの日は伊予市の「五色姫海浜公園」という場所で日没を拝んだ。タイミングと天気が良くて幸運だった。
日が沈んだので予約していた西条市のホテルへ向かう。伊予市から西条市までは国道11号で約1時間半。いくら四国とはいえ流石は二桁国道、全区間2車線の快適な道路だ。
20:30、西条市に到着。
この日の移動経路はご覧の通りだ。
明日はいよいよ四国最終日。
だがこの日の夜、我々はとんでもない過ちを犯していたことに気付いてしまう。
我々を待ち受ける最後の試練とは、、、!?
【Part 4】へ続く。
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