秘境・赤岩駅から帰ってきた(高畠町・鳩峰峠経由)

往路はこちらから→ 秘境・赤岩駅に行ってきた(2018年6月16日) - お休み処 定休日

 

注)本記事の写真は一部、女王氏、およびSwarmer氏から拝借しています。 

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赤岩駅から仙台への復路は、山形県を通って帰ってきた。

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そもそも私たちは元々、国道399号「鳩峰(はとみね)峠」に行きたかったのだが、山形県のホームページによると鳩峰峠は道路改修により通行止となっていたため、代替案として赤岩駅に向かったのである。

山形方面へ向かったのは、その通行止の真偽を確かめるためでもあった。

 

宮城・福島の天気は微妙だったが、この日の山形県は良好な天気だった。太平洋側と日本海側の天候は対照的なことが多い。

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鳩峰峠へは山形県高畠町からアタックする。女王氏が「高畠を通るなら行きたい所があるんです」と言ったことで、寄り道が決まった。我々庶民は女王に盾突く権利を持っていない。彼女の一声は絶大で絶対なのだ。

 

立ち寄ったのは、道の駅たかはたの近くにある「安久津八幡神社」だ。なんでも、女王氏は以前ここを訪れたとき、雪に覆われていて立ち入れなかったらしい。国道113号沿いに見える三重塔が目印だ。

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なるほど、確かにこれは気になる。

www.dewatabi.com

安久津八幡神社の歴史は1000年以上も前に遡る。

江戸時代に入ってから幾度かの火災に見舞われながらもその度に再建され、約400年経った今もなお、本殿は茅葺屋根のままで保存されている。

 

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三重塔(1枚目)と奥の院からの眺め(2枚目)。

本殿から速足で歩いて10分ほどで奥の院に到着する。樹木が生い茂っているが中々の眺めだ。

 

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本殿(1枚目)と拝殿(2枚目)。

 

ここでは、文化財保存会の方々からお話を聞くことができた。

 

安久津八幡神社の三重塔と本殿は、山形県重要文化財に指定されている。

しかし、拝殿は再建後に手摺りを増設してしまったことが原因で、重要文化財に指定されなかったそうだ。

このような歴史的建造物は、重要文化財に指定されるか否かによって保存の難易度が大きく変わる。なぜならば、その違いが補助金交付の有無に関わるからだ。

実際、重要文化財に指定されている本殿は茅葺が綺麗に整えられていたのだが、指定されなかった拝殿は屋根に苔がむしていた。

現在、拝殿は保存会の方々が観光客や住民から資金を集め、修復のための努力をしている。我々が訪れたときは、拝殿の1/3ほどの修復が終わっていた。厳しい予算事情ではあるが、トタンや瓦屋根にするつもりは無いそうだ。「400年間も守り続けてきたのだ。私たちに守れない筈はない。」保存会の方の言葉が忘れられない。

 

折角来たので、修復のための資金として1人1,000円ずつ、合計3,000円を奉納してきた。1人1人の力は小さいかもしれないが、人が集まればやがて大きな力になるかもしれない。上から物言うかたちになってしまって恐縮だが、努力している地域の活動をより多くの人に知ってもらえれば幸いだ。

 

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長い寄り道をしてしまったが、いよいよ本題の鳩峰峠に向かう。

鳩峰峠は、山形県高畠町福島県福島市を結ぶ国道399号上の県境にある峠だ。

399号のうち、山形県側が通行止になっているらしい。その情報通り、高畠町最後の集落を抜けたところで、通行止のバリケードが設置されていた。

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そこで、国道113号を通り、宮城県七ヶ宿町から迂回して峠に向かうことにした。

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国道399号山形県福島県を結ぶ国道だが、経路の途中で1度だけ宮城県に入る。その宮城県区間に「稲子」という小さな集落があり、七ヶ宿からこの集落へと至る山道がある。

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運転手は女王氏に代わる。「レンタカーの返却まで時間がないので鳩峰峠は厳しいかも」と告げると、女王氏の目付きが変わってしまった。

「行けます」

こうなった女王氏には誰も敵わない。悪魔のような運転テクニックで峠を攻める。山道の写真を撮ろうとしたが、車体の揺れと速度でピントを合わせられない。後部座席ではスワマー氏がグロッキー状態に陥っている。

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迂回したにも関わらず、安久津神社から1時間ほどで鳩峰峠に到着した。

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霧がかかっており、景色は何も見えない。

ただ「峠に辿り着いた」という結果だけが残る。

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当たり前だが、峠部にもバリケードが設置されている。

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山形県側、通行止の区間の写真だ。おそらく山形県側の方が酷道度が高いのだろう。通行止が解除される時には、線形改良されて走りやすくなっているかもしれない。いずれにせよ、天気の良い日にまた行きたい場所だ。

 

17時半に鳩峰峠を後にし、七ヶ宿から蔵王・遠刈田を通って、なんとか返却期限の20時までに仙台に帰ってくることができた。今回の旅行で得られた最大の知見は、「レンタカーは時間に余裕をもって借りるべき」ということだ。少なくとも、彼らと一緒に旅行に行くときは。