新郷村には やる気がない【キリストの墓・ピラミッド】

注意:

この記事には、特定の自治体を批判・誹謗中傷する目的はありません。誤解を招く表現があるかもしれませんが、あくまで私が感じた地域の魅力を発信するのがこの記事の目的であることをご理解いただき、お楽しみいただけると幸いです。

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少し前に、このような画像が出回ったのをご存知だろうか。

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「キリストの墓 ピラミッド」とかかれた青看板。青森県のどこかにあると言われ、一時期話題になった。

このミステリアスなスポットは、青森県の新郷(しんごう)という村に実在する。その真相を突き止めるため、モンスター氏と別れた私はひとり新郷村へ向かった。

(前の記事:青森(ちょっと秋田)雪見の旅 with モンスター - お休み処 定休日

 

2018年12月30日。

実家の車を運転し、八戸から広域農道を通って新郷村へ向かう。

途中、ものすごいビジュアルの坂道に遭遇した。

f:id:take1_HERO:20190102155031j:plain Google マップ

八戸~五戸間の農道。実際の勾配はビジュアルほどキツくはない。

 

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「ようこそ あと1000m」どこまで?

 

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農道から国道454号へ入る。小学生から忠告を受けつつ、八戸から車で1時間ほどで新郷村に入る。

 

新郷村とは?

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新郷村ホームページ(http://www.vill.shingo.aomori.jp/)より

青森県東南部の南部地方に所在する、人口約2000人の小規模な村である。

キリストの墓伝説やユダヤにまつわると言われる祭礼・遺跡があり、神秘の村としても知られるが、その発祥は1935年以降である。(新郷村 - Wikipedia より引用)

 

事前の調査を踏まえ、この村で私が行きたかったのは以下の4ヶ所だ。

  1. キリストの墓
  2. ピラミッド
  3. 道の駅しんごう・国道454号 冬季閉鎖ゲート
  4. 新郷村で唯一の信号

※1.~4. は実際の訪問順です。

 

1. キリストの墓

キリストの墓は、言わずと知れた新郷村が誇るパワースポットである。青森県民でその名を知らない者は少ないのではないだろうか。

新郷村を東西に結ぶ国道454号沿いに「キリストの里公園」が存在する。

 

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あの青看板が姿を現す。早速キリストの墓参りに行こうとしたのだが…

 

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なんと、キリストの墓は11月から冬季休園していたのだ。

 

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墓に至る遊歩道も除雪されていない。結局、キリストの墓参りをすることは叶わなかった。

一度は全国的にも注目されたキリストの墓。冬季も開業し、少し除雪でもすれば、全国から観光客が来てそれなりの経済効果があるのではないか?もしかして、この村はやる気がないのではないか?

 

さて、私がこの場所に来たかったのは、勿論キリストの墓を観に行きたいというのもあるのだが、もう1つ大きな理由がある。それは、キリストの里公園の目の前にあるコンビニ「キリストっぷ」の存在である。

 

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どう考えても某大手コンビニのネーミングをパクって パロディしている。ロゴマークまで似せている。よくも今まで訴えられずにやってこれたものだ。

 

ameblo.jp

キリストっぷのレポートはこちらの記事が面白い。これを読むだけでも、このコンビニのやる気のなさが伝わってくる。

 

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上記記事の通り、キリストっぷの営業時間は日曜日の10時から(十字架ら)15時。定休日が、ではなく、営業日が週にたった1日だけだ。一応この村で最も有名な観光地にあやかっているのに、この営業時間の短さは明らかにやる気がなさすぎる。

だが、私がここを訪問したのは日曜日の13時頃であり、幸運にも短い営業時間の内であった。

駐車場に車を停め、早速キリストっぷに向かう。だが…

 

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「今年度も大変お世話になりました。来年度も宜しくお願い致します。ごきげんよう!!」。

 

・・・。

 

 

まあ正直、訪れた日は年末だったので、営業してなくても仕方ないとは思っていた。

だが、終了したのは今年の営業ではなく、今年「度」の営業である。つまり、キリストの墓と同様、3月末までキリストっぷは休業という訳だ。上記の記事を読んでいたからやる気のないコンビニなのは重々承知していたはずなのだが、これには一本取られたよ。まあキリストの墓が休業してるんだから当たり前といえば当たり前か。

 

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次に来れるとしたら春以降か。今度は絶対にキリストの遺言書手ぬぐいを手に入れてみせる。

 

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キリスト公園前のバス停。村営バス「みずばしょう号」が走っている。キリストっぷの唯一の営業日である日曜日のバスの運行はない。バスダイヤ設定の際に、キリストっぷの営業日を考慮しない新郷村にはやる気がない。

 

 

2. ピラミッド

ピラミッドは、キリストの墓と並ぶ新郷村のミステリースポットだ。正式な名称を「大石神ピラミッド」というらしい。

キリスト公園から西へ約4km、小さな案内板に沿い、国道を外れてさらに2kmほど走る。

 

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丁度良く木漏れ日が射し込んできた。

 

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起伏の激しい道をしばらく走ると、ピラミッド入口の看板が見えてくる。

しかし…

 

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ピラミッド、未除雪。

スニーカーが完全に埋もれる程の積雪が、行く手を阻んでいた。

 

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未除雪の雪道を数メートル歩いてみるが、今の私は長靴ではない普通のスニーカーを履いている。ここからピラミッドまでは約300m。とてもピラミッドまで辿り着ける装備ではない。

キリストの墓に続き、ピラミッドもアクセス失敗。

せめてあと数百メートル除雪してくれればピラミッドに辿り着けるのに…。ここまでの道路が除雪されているのだから、それくらい容易くできそうなものだ。ましてや観光名所に至るラストワンマイル。その除雪をしないあたり、新郷村にはやる気がない。

とはいえよくよく考えてみれば、新郷村のピラミッドは本家のそれほど大きくはない。もしピラミッドまで辿り着けたとしても、ピラミッドそのものが雪に覆われていれば、何が何だか分からないことになるのは目に見えている。「目の前まで来て絶望するよりも、早めに引き返しておけ」という新郷村からの無言のメッセージだったのかもしれない。多分やる気がないだけだと思うけど。

 

 

3. 道の駅しんごう・国道454号 冬季閉鎖ゲート

「道の駅しんごう」は、国道454号沿いにあり、1年のうち半分近くが冬季閉鎖されている。今回紹介する4つのスポットのうち最も八戸から遠くに存在する。

これまで紹介したキリストの墓やピラミッは、まさにブログ名に相応しいオチだったと思う。一方で、この場所は冬季閉鎖されていることを事前に知っていた。自分ルールにはルーズな方だが、あらかじめやってないと知った上でその場所に行き、やってないじゃんと笑うのは流石に違うことは自覚している。

私がこの場所へ行きたかったのは、前日通れなかった国道454号の成れの果てを見たかったのと、東北道の駅巡りをしていた友人が昔「道の駅しんごうは東北の道の駅の中でも特にやる気がない」と喋っていたため、気になっていたからだ。

 

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国道454号 冬季閉鎖ゲート。ここから秋田県境までは全て閉鎖されている。

 

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道の駅しんごう「間木ノ平グリーンパーク」。案の定除雪すらされていない。そもそも営業してないので、やる気がないのかどうか分からない。

 

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道の駅の向かいにあるコーヒーショップ。てっぺんに十字架が刺さっている。

 

ここに至る途中、除雪作業中のオッチャンから異様な眼差しで見られた。この先は通行止めなのを知らないのか?という意味だろう。心配してくれてありがとう。でも私は止まる訳にはいかなかった。この道の「終わり」を見るまでは。

 

 

4. 新郷村で唯一の信号

新郷村の中心部に、新郷村で唯一の信号がある。

村の名前が「しんごう」なのに信号が1つしかないのは、新郷村にやる気がない証拠だ。

来た道を引き返し、村役場に車を停め写真を撮りにいく。

 

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これが新郷村で唯一の信号だ。何の変哲もない普通の信号である。

 

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良く見ると氷柱が垂れ下がっている。

 

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イルミネーション会場??あの信号機のことか?

やる気のない新郷村ならあるいは…とも思ったが、矢印の指し示す方向は違うようだ。歩いて行ってみることに。

 

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「新世紀橋」という壮大な名前の歩行者専用橋を渡って…

 

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ここがそのイルミネーション会場だ。小ぢんまりとしているが、地域の皆さんや子ども達が力を合わせて準備したのを想像すると微笑ましい。

 

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ここまで幾度となく新郷村のやる気のなさを紹介してきたが、極めつけはこの居酒屋「レスト&パブ さぼーる」。確信犯的にやる気のない名前をしている。営業時間はPM5:30~のため入ることはできなかったが、ここまで開き直られるとむしろいつか来てみたいと思える。

 

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村では、住民の皆さんが総出で雪かきをしていた。

前日に八甲田に行ったので感覚が麻痺しているが、ここも相当な豪雪地帯である。力を合わせて雪かきをしないと、冬は乗り切れない。

新郷村が観光に対してやる気がないのは、自分たちの暮らしを守ることに力を注いでいるからなのかもしれない。

 

「東北の人間はアピールが下手」と言われて久しい。

他の地域に行ってみて初めて気付くことだが、東北には訪れるには素晴らしい観光地や、美味しい食物がたくさんある。にもかかわらずそれをアピールしないのは、自分たちで自分たちの地域の魅力に気付いていないからかもしれないし、他の地域から人を呼び込むよりも大切なものがあるという認識があったからかもしれない。

 

他の地域から観光客を呼び込み、経済のサイクルを回す。グローバル社会の中で小さな村が生き残るには、それしかない。

自分たちの暮らしを守り受け継ぐことを第一に考えた東北人の選択は、この社会では間違っているのかもしれない。だが少なくとも私は、そのような道を選んだ人々に敬意を表さずにはいられないのだ。

 

やる気はなくてもミステリアスな魅力はある。

新郷村から目が離せない。