燧ヶ岳 登山レポート(御池コース→長英新道)

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燧ヶ岳

標高:2356m(柴安嵓)

登山日:2018年10月26日 (金)

 

燧ヶ岳は、福島県檜枝岐村に山頂を有する山で、尾瀬を代表する山の一つです。2356mの標高は東北地方最高峰でもあります。個人的には東北地方を去る前に一度は登りたいと思っていた山で、あまりにも登りたかったためか夢にまで出てきたことがあります。今回も元登山部であるSwarmer氏の同行のもと、燧ヶ岳の登頂に挑戦してきました。

 

上り:御池コース

 御池駐車場→広沢田代→熊沢田代→俎嵓→柴安嵓

下り:長英新道

 柴安嵓→俎嵓→長英新道→大江湿原→沼山峠→御池駐車場

 

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AM1:30 起床

宿泊していた 道の駅 檜枝岐の向かいにあるキャンプ場を出発し、車で登山口に向かいます。

前日の夜「明日は1:30に起きましょう」と言われた時は絶対寝坊するだろうと思ったのですが、やはり暖房のないキャンプ場。結局寒さで目が覚め、そのまま出発することになりました。

 

AM2:50 登山開始

御池駐車場に到着。駐車場の奥の登山口から早速登山開始です。

御池コースは、2つの田代(広沢、熊沢)を通るルートで、序盤にやや急峻な岩場があります。

天気予報では、当日の燧ヶ岳の登山指数はA(登山に適している)だったのですが、登山口付近の気温は既に氷点下になっていたらしく、岩は凍って滑りやすい状態になっていました。11月になると雪が積もり始めるため、無雪期登山を行うには最後のチャンスだったといえます。さらに、部分的に氷が溶け、登山道の一部が泥濘のようになっていました。

 

そして早速2合目付近でやってしまいました。買って僅か12時間の登山靴を沼ポチャ。靴下まで濡れてしまいました。正直この時点で心は折れ、Swarmer氏がいなければ下山の道を選んでいるところでした。

 

AM3:40 広沢田代

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登山開始から1時間弱で最初のチェックポイント・広沢田代に到着。まだ日は昇っていません。沼ポチャしたのでもうダメかと思いましたが、ずっと歩き続けているためか身体は熱を持っており、足元もそれほど冷たくはありませんでした。

 

AM4:30 熊沢田代

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広沢田代を抜けさらに登ると、第2のチェックポイント・熊沢田代に出ます。熊沢田代は5合目と6合目の中間あたりだと思われます。時刻は4:30。この辺で日が昇ってくるのではないかと予想していたのですが、まだその気配はありません。フラッシュを焚いて辛うじて木道と山の輪郭が見えるほどの暗さ。実際にこれくらいの暗闇の中を、懐中電灯を頼りに進みます。

 

AM5:15 7~8合目付近

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熊沢田代を抜け、再び登りに突入します。午前5時を過ぎ、やっと東の空が明るくなってきました。小石が多く、やや険しい登りです。

 

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8~9合目。空が明るくなったことで、身体がようやく目覚めてきたようです。登山道の周りは笹などの植物に覆われていて分かりにくいですが、道のすぐ横は崖になっている箇所があります。気を付けて歩かないと、危うく転がり落ちるところでした。

 

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9合目を過ぎると、木に霜が降りて真っ白になっていました。山頂らしき場所が見えてきました。

 

AM6:00 俎嵓山頂

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俎嵓(まないたぐら)に登頂。雲の中から太陽が顔を出し始めます。地平線からではありませんが、一応これも御来光ということにしておきます。ガスがかかっているため、視界はほとんどありません。しかも風が強く、気温は氷点下。とても山頂で優雅に朝ごはんを食べる状況ではありません。

 

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俎嵓山頂から柴安嵓(しばやすぐら)へ向かいます。柴安嵓は俎嵓よりも10mだけ高いため、東北最高峰は柴安嵓のほうになります。尾根に沿って一旦下り、また登り。20分程で柴安嵓に到着します。

 

AM6:20 柴安嵓山頂

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柴安嵓に登頂。燧ヶ岳山頂の石碑が立っています。

 

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俎嵓と同様、山頂はガスがかかっていて、ほとんど景色は見えません。

 

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 登頂記念に手形。

 

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東北最高峰の頂上でサンショウウオ(南会津産)をいただきます。なんか煮干のような、少し薬味(漢方?)っぽいような、不思議な味がしました。

 

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俎嵓に戻ると、先程までかかっていたガスが吹き飛ばされ、遠くの山々を拝むことができました。いま立っているこの場所は、雲の上のようです。さらに、先ほど登ってきた柴安嵓もその姿を現しました。

 

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さらに、珍しい気象現象に遭遇。自分の影の周りに虹色の輪ができるこの現象は「ブロッケン現象」と呼ばれ、数々の条件が揃わなければ見られないレアな現象なのだそうです。

 

AM7:00 下山開始

帰りは長英新道を通って沼山峠まで歩き、バスで御池駐車場まで帰ります。長英新道は所々に泥濘がありますが、登りの急峻な岩場と比べると、比較的歩きやすい道だと思いました。

 

AM8:40 長英新道入口付近

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下りはほとんど休憩せず一気に下りてきたため、1時間半ほどで登山口に着きました。ある程度下ると木道が整備されたハイキングコースとなり、しばらくすると尾瀬沼が見えてきます。

 

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大江湿原と呼ばれる平原に出ました。いかにも尾瀬らしい、大きな湿地が広がっています。これまでのような激しい登り下りはないのですが、既に10km以上歩いてきており、体力的にはかなり厳しいものを感じました。ここからゴールの沼山峠休憩所までは約3km。

そういえば山頂でサンショウウオしか食べていないことを思い出し、湿原入口付近で休憩&栄養補給。ゴールまであと少しなのですが、空腹の限界でした。栄養補給で体力を回復し、最後の力を振り絞って歩きます。

 

AM9:40 沼山峠休憩所に到着

登り、下りを合わせての歩行距離は約14km、所要時間は約7時間でした。

 

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感想

実は私にとって、2000m以上の山に登ったのはこれが初めてでした。

やはり、これまで登ってきた1000m級の山々とは一線を画す厳しさがあると感じました。

山頂で偶然ガスが晴れてくれたのも、珍しい気象現象が見れたのも、ラッキーだったと言わざるを得ません。

あと、やはり時期的にはギリギリでした。特別な装備を必要としない無雪期登山を行うのは、10月が限界だと思われます。

東北に居るうちに成し遂げたいと思っていた燧ヶ岳の登頂。その長年の夢が叶って感無量です。

山登りはこれからも無理をしない程度に続けていきたいと思います。