【衝動】岩手山・八幡平を一周してきた(2018年5月13日)

前日の5月12日に、以前から行きたいと思っていた紫波町のオガールプラザに 遊び 視察に行ってきた。

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もともとは日帰りで仙台~紫波中央を在来線で往復するつもりだったのだが、紫波中央駅で上り電車を待っているとき唐突に「まだ帰りたくない」という衝動に駆られた。そこで急遽予定を変更し、下りの電車に乗り込んで盛岡のホテルを予約し、1泊することにした。

翌13日、AM9:30。例によってタイムズで車を借り、北を目指す。ダムカードが配布される3基のダム(四十四田、玉川、御所)に寄り道しつつ、岩手山麓・アスピーテラインを通って八幡平を一周する旅程を立てた。

盛岡市中心部から国道4号に沿って北上すると、程なくして四十四田ダムへの分岐が表れる。そこからダムへは意外なほど近い。ダムというと山奥にあるイメージが強いのだが、南部片富士湖をせき止めるこのダムは盛岡市内にあり、近くには松園という住宅地が存在する。

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ダムカードをもらい、数枚写真を撮って足早にダムを後にする。今回の車のレンタル予定時間は6時間。寄り道を考慮すると相当タイトなスケジュールになる。

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国道4号に戻りさらに北上すると、いつの間にか国道282号に突入する。「分レ」という交差点で、4号は直進を282号に譲り、右折するらしい。

国道282号は、2月に青森からの帰りに通った道路だ。

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かつて我々を苦しめ、心を挫いた国道282号。その姿にかつての面影はない。雪はあらゆる国道を酷道に変える。初夏の訪れた今、目の前には快適な2車線道路が広がっていた。

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「道の駅にしね」を過ぎたところで左折して国道を外れ、焼走り溶岩流と呼ばれる溶岩の高原を目指す。ナビに従ってしばらく走っていると、眼前に雄大岩手山が見えてくる。道中、物騒な標識を見つけた。動物注意の標識は各地に様々な種類があるが、これほど恐怖を煽るものも珍しい。

AM11:00。焼走り溶岩流に到着した。

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焼走り溶岩流は、およそ300年前に岩手山の中腹から噴出した溶岩により形成され、見渡す限り黒い岩石の平原が広がっている。噴出時期が新しいことから、未だ植生が進んでいない。散策路は速い人なら20分程度で一周できる距離らしい。一周しようかとも思ったが、行ったら写真を撮りすぎて時間が無くなると思い、途中で引き返した。

溶岩流を後にし、さらに奥へ進む。ここから先は岩手山パノラマラインと呼ばれる道路を通り、八幡平へ向かう。

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経験上「〇〇ライン」と名の付く道路はクネクネした狭隘な道であることが多いのだが(自分が意図的にそういう道を通ってきただけかもしれない)、岩手山パノラマラインは全区間対向2車線で見晴らしの良い快適な道路だ。はるか遠くに目指す八幡平の山々が見える。岩手山パノラマラインの終点は、八幡平樹海ラインの入口となっている。岩手県側から八幡平に行くルートは、八幡平アスピーテラインと八幡平樹海ラインの2本がある。12日の報道で、アスピーテラインが落石により岩手県側の全区間が通行止になったことを知っていたため、ルートは自ずと樹海ラインに限られた。

個人的に「樹海ライン」というと、奥只見の国道352号線が思い出される。こちらには2017年の10月に訪れたが、1車線、断崖絶壁、ガードレールなし、路上河川ありというそれはもう酷いもので、日本有数の酷道であった。

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↑↑↑国道352号「奥只見樹海ライン」↑↑↑

あの経験を踏まえ今回は相当身構えて行ったのだが、さすがにあそこまで酷い道ではなかった。カーブ・勾配は相当急であるものの、少なくとも全区間2車線分の幅員は確保されていた。

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岩手山樹海ラインで最も急な勾配は、おそらく松川温泉に向かう岩手県道212号の区間であったと思う。八幡平は5月が観光シーズンであり、日曜日であったこととアスピーテラインが通行止であったためか交通量は多い。ヤマトのトラックは松川温泉に向かうのだろうか、それとも山を越えて秋田まで、、、?

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松川温泉を通過し県道318号区間に入ると、次第に残雪が見られ始める。アスピーテラインは豪雪のため冬季は通行止となり、春になってから開通する。もちろん雪は残っており、その雪の壁を縫って走る「雪の回廊」が有名であることから、5月には多くの観光客が訪れる。時折車を止めて山を眺めながら進む。

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12:05、八幡平見返峠に到着。5mはあろうかという雪の壁に出迎えられる。峠には駐車場と展望台、レストハウス、さらに県境を示す標が立っている。「落石のため全面通行止」と書かれた看板が立っていたのだが、少し下ってみてもそのような気配はない。後日報道を見たところ、通行止は12日の正午、すなわち私が到着する5分前に解除されたらしい。なんてタイミングだ、、、

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ここから約2kmは徒歩で山頂を目指すことになる。登山道には雪が残っており、スキー板を履いて歩く登山者の姿もあった。山頂の気温は10℃を下回る。盛岡の服屋で長袖を買っておいて良かった。

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八幡平はその名が示す通り平らで、明確な山頂がない。言うなれば「高いところにある平地」という感じだ。これまで登ってきた山と比べてもキツイと感じることはあまりなかった。山頂の近くまで車で行けることもあり、初心者にもやさしい山といえるだろう。ただし、登山道は雪で覆われており道が分からない。目印として立っている木の棒から離れすぎると遭難してしまう可能性もあるので、油断は禁物である。

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八幡平には、噴火口に水が溜まってできた沼が点在する。「八幡平ドラゴンアイ」で検索すると美しい写真がたくさん出てくるが、これが見られるのは気象条件が揃ったときであり、極めてレアな自然現象らしい。程なくして頂上(1613m)に到着する。所要時間は登り・降りを併せて1時間弱であった。

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見返峠を後にし、秋田へ抜ける。アスピーテラインは鹿角市で国道341号線に接続し、終点を迎える。国道341号の鹿角~仙北間はカーブが多く、酷道度は比較的高い。一方で、全区間2車線であることに加え、強酸性で有名な玉川温泉などがあり、交通量は少なくない(もっとも酷道341号の本領は由利本荘秋田市間で発揮されるのだが、今回は時間と交通費が限られているため遠慮させていただく)。

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雄物川の支流・玉川と並走しながらしばらく南下すると、宝仙湖が姿を見せる。宝仙湖はダム湖百選に選ばれた湖で、エメラルドグリーンの水を湛える。湖を堰き止める玉川ダムは、RCD工法という先駆的な工法で施工されたらしい。

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偶然にもこの日、ゲートの試験放流が行われていた。天端を歩いて渡っていたら、管理所の方に「良かったら放流を近くで見てみませんか」と声をかけられた。お言葉に甘えて、クレストゲートの真上から放流を見せていただいた。10cmのゲート開放でこの放流量、水の持つパワーを思い知る。

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14:45、玉川ダムを出発し、盛岡に戻る。いよいよ時間が無くなってきた。無念ながら田沢湖をスルーし、仙岩峠を越えて岩手に入る。最後に御所ダムを見学し、無事ダムカードも入手。ミッションコンプリートだ。だが、シェアカーの返却時間を90分延長してしまった。17:00、盛岡に到着。

盛岡から高速バスに乗り、20時には仙台に着いた。たまには衝動的な旅行も悪くない。そう思える1日だった。