竜飛崎・階段国道の冬季到達可能性に関する検証(復路)

(※注) 本記事は,仙台から青森への旅行の帰り道,すなわち青森から仙台に至る旅路の記録である.往路(仙台→青森)については,以前の記事( http://take1-hero.hatenablog.com/entry/2018/03/04/172810 )に示した通りである.

 

~前回までのあらすじ~

 定休日・モンスター・女王の3人は,本州の北の果て「竜飛崎」にあるといわれる伝説の国道「階段国道」を目指し,エクストレイルに乗り込んだ.意気揚々と北を目指す一行に,天候の激変や悪路など数多の苦難が襲い掛かる.壮絶な旅路の末,遂に階段国道に到達した一行は,津軽海峡冬景色歌謡碑のボタンを押し,竜飛崎に白銀の音色を響かせたのだった.

 無事に竜飛崎から生還し,青森市内のホテルで休息をとる一行.だが復路には更なる苦難が待ち構えているのだった,,,.

 

青森市街~城ヶ倉大橋・酸ヶ湯温泉

 2018年2月24日.午前10時.青森市を出発し,仙台を目指す.この時期,青森から南に向かう道路はたった1本しか除雪されていない.その1本というのが国道103号である.国道103号それ自体は良く整備された2車線道路である.だが「"冬の"国道103号」は,理由を述べるまでもなく酷道と言ってよいだろう.そしてその最奥には,かの有名な酸ヶ湯温泉と城ヶ倉大橋がある.筆者も昨年の12月に単独で雪中行軍し,大変な思いをした.あれから2ヶ月,果たして積雪はどうなっているだろうか.

 Google map によると,青森市街では国道103号は「観光通り」という名前になっているらしい.それが国道7号との交差点を過ぎると「八甲田ゴールドライン」という名前になるようだ.

f:id:take1_HERO:20180310230804j:plain国道7号との交差点付近に,パチンコ「北大」がある.写真は某北海道大学の略称と名前が同じことにはしゃいだ女王氏が撮影したものだが,偶然にもここが八甲田ゴールドラインの起点であったことから,ここから書き始めることにする.

f:id:take1_HERO:20180310231739j:plain青森市雲谷付近.既におにぎり(国道標識)に迫る積雪量だが,モヤヒルズの手前までは辛うじてアスファルトの路面が見える.

f:id:take1_HERO:20180310232602j:plain雲谷を過ぎると路面も雪に覆われる.戦いの始まりだ.

f:id:take1_HERO:20180310232523j:plain岩木山展望所付近.当然この天候では山は拝めない.

f:id:take1_HERO:20180310233115j:plainおにぎりも雪の帽子をかぶっている.

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f:id:take1_HERO:20180310233243j:plainそして国道394号との交差点付近.遂に積雪がおにぎりの高さに達した.

f:id:take1_HERO:20180310233557j:plain信号の色は青・黄・赤・白の4色.

f:id:take1_HERO:20180310235249j:plain城ヶ倉大橋に到着したのは正午頃であった.

f:id:take1_HERO:20180310235454j:plain車を降りて橋を渡る.歩道には腰の高さ程まで雪が積もっていた.

f:id:take1_HERO:20180310235730j:plain橋の中央付近で何やら話し合いを始めるモンスターと女王.嫌な予感がする.

f:id:take1_HERO:20180310235916j:plain予感は的中した.積雪をものともせず歩道に乗り上げる2人.(※彼らは特別な訓練を受けています。)

f:id:take1_HERO:20180311000556j:plain雪は意外にも固く,人が乗っても嵌まることはなかった.

f:id:take1_HERO:20180311000933j:plain橋の上からの眺めはまるで水墨画のように美しかった.

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女王と定休日の撮影戦.

そんなことをしているとモンスター氏の「あれ?ここから行けんじゃね?」という声が聞こえた気がした.いや,きっと気のせいだろう.気のせいのはずだ.

f:id:take1_HERO:20180311002346j:plain気のせいじゃなかった,,,.

f:id:take1_HERO:20180311002527j:plainまず何故「行けんじゃね?」と思ったのか甚だ理解できないが,モンスターがこれまで筋力で解決できなかった課題は存在しない.ここはモンスターの筋力を信じて見守るしかない.

f:id:take1_HERO:20180311003039j:plain滑りやすい雪質と格闘すること数分.遂に雪の壁から頭を出すことに成功した.

f:id:take1_HERO:20180311003221j:plain「橋,見えますよ!」(※向こうに落ちたら死にます。)

f:id:take1_HERO:20180311003416j:plainこの体勢が安定するらしい.

そして撮影した城ヶ倉大橋がこちらである.

f:id:take1_HERO:20180311003702j:plain彼らの辞書に不可能という文字はあるのだろうか.

 

 続いて目指すは酸ヶ湯温泉.12月の時点で既に2mを越えていたが,果たしてどうなっているだろうか.

f:id:take1_HERO:20180311005347j:plain12時40分.酸ヶ湯に到着.

f:id:take1_HERO:20180311005739j:plain積雪は大型バスの高さを超えるまでに成長していた.

余談だが,この年の酸ヶ湯は積雪深という意味ではスランプ気味だったと思う.2月に入ってからは3m後半を維持していた.それでも十分深いのだが,今年は山形県肘折の積雪が凄まじかった.アメダスの観測計で酸ヶ湯を抜き,一時は430cmを観測し1位に躍り出た.肘折温泉では大雪割キャンペーンを実施しており,観測史上最大を記録したため,その日は宿泊が1泊無料になったらしい.肘折温泉については筆者も気になっていたので,機会があればレビューしたいと思う.

そんなスランプ気味の酸ヶ湯だったが,この日の積雪は4m越え.1位の座を奪還し,何とか青森の面目を保つことができた.

f:id:take1_HERO:20180311011309j:plainとりあえずこのグチョグチョに濡れた靴下をどうにかしたい.今はそれしか考えられない.

 

酸ヶ湯~仙台

 さて,残すはもう帰るだけである.冬季閉鎖の八甲田を迂回し,国道394号→国道102号と山を下り,まずは弘前に向かう.

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f:id:take1_HERO:20180311013011j:plainここで初めての「埋没おにぎり」を発見.というか今までもあったけど気付かなかっただけかもしれない.

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f:id:take1_HERO:20180311013419j:plain弘前城公園.休日とは思えないほど人が少なかったが,あと2ヵ月もすれば観光客で溢れ返るだろう.厳しい冬を耐え抜いた桜が満開の花を開かせるまで,あともう少しだ.

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弘前を後にした一行は,国道7号に沿って南下する.一桁国道らしく整備された走りやすそうな道路だ.

ところで,我々の旅行には1つの制約がある.それは「来た道と同じ経路で帰らないこと」.移動が本来需要である以上,移動するからにはより多くの場所を移動するべきだ.誰が言い始めた訳でもなくそこにあった不文律である.このまま国道7号で南下すれば,往路で通った能代に出てしまう.そこで我々は,碇ヶ関で国道282号に乗り換え,岩手ルートで帰る決断をした.

f:id:take1_HERO:20180311020034j:plainだがこの282号,想像していた以上に大変な道路だったのである.これまで通ってきた国道は,ある程度酷道であることが予想できていた.R282は「東北道が並走してるし大丈夫だろう」と高を括っていた.認識が甘かった.

延々と続く「ただの雪道」.記事にできそうな写真も撮れない.モンスター氏が「もう来ないだろうなー」と呟いた.彼の弱音を聞いたのは,後にも先にもこの1回だけである.

f:id:take1_HERO:20180311021040j:plain唯一記事にできそうな写真といえばこれ位だろうか.坂だらけなのに「坂なし峠」とはこれ如何に.

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国道282号は青森県を起点とし,秋田県鹿角市を通って岩手県に抜ける国道である.そのため,2度県境を越えることになる.秋田県は想像以上に長かった.

f:id:take1_HERO:20180311022044j:plain岩手県に入る頃には,日は完全に沈んでしまっていた.遠くに見える光はスキー場だろうか.

そして午後8時頃,我々は盛岡に到着した.盛岡南のイオンで夕食を済ます.次の日の予定もあることから,ここで高速道路に乗ることにした.

f:id:take1_HERO:20180311022844j:plainモンスターエナジーをあおるモンスター.

盛岡南ICから東北自動車道に入り,仙台へと車を飛ばす.これまでの悪路酷道が嘘のように快適だ.

そして午後11時,無事仙台に到着.総走行距離約400kmの長旅であった.

 

おわりに

 以下の3点を本検証(復路)の結論として挙げる.

  1. 一桁国道は概ね信じて大丈夫と言えるだろう.
  2. 東北地方における県境の壁は極めて高い.県境を越える国道は要注意である.
  3. 高速道路に乗ることもまた勇気である.

 今後の課題として,冬季の八甲田エリアへの旅行は,替えの靴下を持っていくか長靴を装備していったほうが良いという点が挙げられる.また,八甲田山や城ヶ倉大橋は紅葉の名所でもあるので,秋の時期にも行ってみたい.

 

謝辞

 本検証に同行してくれたモンスター氏と女王氏に,心から感謝の意を表します。彼らの協力と行動力がなければ,きっとこの旅は実現しなかったでしょう。改めて,この長く無謀な旅にお付き合いいただき,ありがとうございました。

 

宣伝 参考文献

  1. 竜飛崎・階段国道の冬季到達可能性に関する検証(往路)( http://take1-hero.hatenablog.com/entry/2018/03/04/172810

  2. 旧・国道343号「笹ノ田峠」に行ってきた(2018年1月8日)( http://take1-hero.hatenablog.com/entry/2018/01/14/223935

  3. 酸ヶ湯温泉階段国道を目指してきた(2017年12月28日)( http://take1-hero.hatenablog.com/entry/2017/12/30/104546

 

   (2018年3月11日 投稿)